相続は、人生における大きな節目のひとつです。
しかし、同時に複雑な手続きを伴うものであり、特に相続税の申告については、初めて経験する方にとっては不安がつきものです。
相続で所得税が発生する場合、その申告方法を理解することは、スムーズな手続きを進める上で非常に重要です。
本記事では、相続は所得になるのかや相続で所得税がかかるケースとそれぞれの状況での具体的な申告方法を解説します。
□相続は所得になるのか?4つのケースとその手続き
相続の際に所得税が発生するケースは、一見すると分かりにくいものです。
しかし、大きく分けると次の4つのケースに分類されます。
1:被相続人に所得があった場合
被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までに所得があった場合、その所得に所得税がかかります。
相続人は、被相続人に代わって確定申告を行い、納税する必要があります。
例えば、被相続人が個人事業主だった場合、亡くなった年の1月1日から死亡日までに得た収入に対して所得税が発生します。
この場合、相続人は、被相続人の所得を計算し、税務署に準確定申告を行う必要があります。
2:相続した遺産が、家賃収入など固定の収入を生む場合
相続した不動産や株式などから、家賃収入や配当金などの固定収入が発生した場合、その収入に対して所得税が発生します。
相続人は、その収入を申告し、納税する必要があります。
例えば、相続で賃貸マンションを受け継いだ場合、そのマンションから得られる家賃収入に対して、相続人は所得税を申告する必要があります。
3:不動産や株式などの遺産を売却した場合
相続した不動産や株式などの遺産を売却した場合、その売却益に対して所得税が発生します。
売却益とは、売却価格から取得価格と売却にかかった費用を差し引いた金額です。
例えば、相続で取得した土地を売却した場合、その売却益に対して所得税が課せられます。
4:死亡保険金を受け取った場合
生命保険の死亡保険金は、本来は非課税です。
しかし、一定の条件を満たす場合は、その死亡保険金の一部が課税されることがあります。
具体的には、保険契約者と被保険者が同一人物で、死亡保険金が1,000万円を超える場合、その超過分が所得税の対象となります。
□所得税が発生した場合の申告方法
相続で所得税が発生した場合、確定申告が必要となります。
確定申告は、税務署の相談窓口、確定申告書作成コーナー、電子申告システム「e-Tax」など、いくつかの方法で行えます。
1:税務署の相談窓口で手続きをする
確定申告の時期になると、各地の税務署で相談窓口が設けられます。
相談窓口では、職員のアドバイスを受けながら、その場で申告書を作成できます。
所得に関する資料を持参し、税務署の職員に相談しながら申告書を作成しましょう。
2:「確定申告書等作成コーナー」で作成した申告書を提出する
税務署や相談窓口が遠い場合は、インターネットの「確定申告書等作成コーナー」を利用できます。
このサービスでは、所得に関する必要事項を入力するだけで自動的に申告書が作成されます。
作成された申告書は、印刷して税務署の窓口に提出するか、郵送で提出できます。
3:国税電子申告・納税システム「e-Tax」で申告する
「e-Tax」は、インターネットを通じて確定申告を行うためのシステムです。
利用するには、利用者識別番号と電子証明書(マイナンバーカードなど)の取得が必要です。
「e-Tax」を利用すれば、申告書を電子データで提出でき、税務署への訪問や郵送の手間を省けます。
□まとめ
相続で所得税が発生するケースは、被相続人に所得があった場合、相続した遺産が収入を生む場合、遺産を売却した場合、死亡保険金を受け取った場合などがあります。
所得税が発生した場合、確定申告は税務署の相談窓口、確定申告書作成コーナー、電子申告システム「e-Tax」など、いくつかの方法で行えます。
それぞれの方法には、メリットとデメリットがありますので、状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。
相続税の申告は、複雑な手続きを伴うため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。